富士通専門雑誌「Oh! FM」からFM77AV・FM TOWNSシリーズの歴史を3回に分けて振り返ってみたいと思います。
第3回目は、1993年1月~1996年2月(最終号)まで。
Oh! FM TOWNS 1993年1~6月号
4月から白を基調にした明るい表紙になりました。
裏表紙は、春の特別号(3月号)から「TOWNS+観月ありさ」の組合せからから「Marty(マーティー)+ワニ」に変わりました。
1991年3月号
新製品発表されたテレビに接続できるマルチメディアプレーヤー「FM TOWNS Marty」「モデルUR」の特集記事。
マーティーは盛大にコケしてしまいました。「一部TOWNSのソフトが動かない、値段が98,000円と高すぎる、そもそもTOWNSのソフトラインナップが弱い」が敗因じゃないかと思います。
TOWNSにCD-ROMを生かした音声付きのエロゲーが多く販売され、価格も5万円以下なら、PC-98を買うよりも安く抑えられるので、結構台数が出たと思うのですが。。。
多分、マーティー開発部隊も絶対売れないなと思いながら作っていたと思います。
1991年4月号
前月から引き続きの新製品マーティーの詳細記事です。デザインがPC Engine Duoに似てますね。
マーティーのソフト互換と画像処理について書かれてます。
FM TOWNSII URのベンチマークテスト記事。
続いてモデム特集。定価とは言え3~6万円代の商品が並んでいます。私は当時左下に掲載されているアイワの液晶付きのモデムを使用していました。
液晶付いているとカッコイイんですよね。バックライトがオレンジというのもおしゃれで魅力でした。
パソコン通信のNiftyへ入会する方法が紹介されています。黒い画面に文字がカタカタ表示された頃を思い出します。
Oh! FM TOWNS 1993年7~12月号
8月が「夏の特別号」、11月が「秋の特別号」となっています。
9月まではMartyでしたが、10月からは月替わりの広告になっています。
12月は新TOWNSなのは分かりますが、10・11月をMartyにしなかったのは、あまりに売れなさ過ぎて見切ったのでしょうか。
1993年7月号
フリーソフトウェアーコレクションも6回目になりました。
モノクロ液晶ですが、486ノートが約20万円。
当時乱立していた記憶メディアの特集です。右上のメディア画像では、左上:5インチFD、3.5インチFD、左下:リムーバブルHDカードリッジ、5インチMO、3.5インチMO。
TOWNSに搭載されているCD-ROMについての解説が続きます。
左が当時発売された200MBのHDD、当時から10年前に編集部で購入された20Mの富士通製HDD。記憶容量もさることながらサイズがでかい!
1993年8月号
Windows3.1特集。ここからWindowsが普及が徐々に広がっていきます。
1993年9月号
386・486は32ビットCPUですが、これらのCPUを積んだPC-98を始め多くのパソコンでは16ビット(リアルモード)で動いているのに対し、TOWNSは32ビット(ネイティブモード)で動いていました。その解説記事になります。
1993年12月号
年末恒例の新TOWNS特集記事。MX/MA/MEが登場。白TOWNSもなかなか良いですね。
Oh! FM TOWNS 1994年1~6月号
4月がガラッと表紙の雰囲気が変わります。
再びMartyが登場と思いきや、再度TOWNSに。
1994年2月号
いつもは1月号で新TOWNSの分解記事が掲載されるのですが、今回は2月号に掲載されました。
1994年4月号
ここで、Photoshopバージョン2.5が出てきます。私はバージョン3から使い始めました。
TOWNSの活用記事の特集では、TOWNSのソフトが動くIBMのDOS/Vパソコン「Vision」やLinux、LAN接続などが紹介されています。
1994年5月号
FM TOWNSが発表されたから5年。その歴史を振り返る特集記事です。
1994年6月号
TOWNSにビデオカードIIIを乗せて1600万色のデータを各ディスプレイで表示する特集です。
飯山電気「MF-8517J」、ソニー「CPD-1738」、ナナオ「F557」、富士通「FMTDP8711」など、私にはなじみのあるモニターが並んでいます。
Oh! FM TOWNS 1994年7~12号
可愛い絵柄が並ぶ、Oh! FM TOWNSの表紙。パソコン雑誌としては違う系統のデザインで個人的には好きです。
この頃になると、裏表紙の広告デザインがコロコロ変わり始めます。
1994年7月号
車にTownsを搭載するという「CAR MARTY」の記事です。カーナビとして使用できる他、一部を除くTownsのソフトも使用できます。
1994年10月号
特集でキヤノンのプリンター「BJC-600J」が紹介されています。このプリンターは買った記憶があります。
1994年10月号
FM TOWNSでWindowsを動かそうという特集です。記事によると「最近発売されるソフトのほとんどがWindows版」とのこと。
そうか・・・Windows3.1の頃からそんな感じだったか。。
1994年12月号
年末恒例の新TOWNSの紹介です。モデルはHB/HA/EA2/Fresh・E/Fresh・Tの5タイプ、16モデルの発表(キーボードがJIS・親指の2種類あるため実質は8モデル)。
ハードディスク内蔵モデルは「MS-DOS V6.2、TownsOS V2.1L40、Windows3.1」と3つのOSがインストールされています。
最上位機種にはCPUにPentium 60MHzが採用されています。
Oh! FM TOWNS 1995年1~6月号
4月からも引き続きかわいいイラストです。
当時流行ったタッチおじさん(声は坂田利夫)とターザン家族。当時の人気アイドルは使わなくなりました。
1995年1月号
恒例の分解記事。この頃のハイエンドTOWNSは、左右にスピーカーが付いて筐体が大きくなっています。
基盤(マザーボード)写真。
CPU、ビデオカード、MO、HDDなどの写真。右側の記事はオーバードライブプロセッサかな?
1995年2月号
次号付録FD告知とフリコレ9の記事。
Borland C++ 4.0Jの記事。マイクロソフト製の開発言語より安かったのでこっちらを買った記憶があります。Delphiもありましたね。
1995年3月号
前回の新製品から2ヶ月しか経っていないのに、新しいモデルが発表されました。CPUのPentium60Mhz→90Mhz等の変更に。
前機種のFreshシリーズがかなり売れたとの事(富士通はTOWNSであまり儲かっていなかったイメージがあるんで、Freshのバカ売れで元が取れたでしょうか)。
ちなみに雑誌付録のフロッピーディスクは、段ボールをくり抜いて、その中にFDが入った形で本に挟まっています。
1995年5月号
フィルム写真のネガを取扱店に渡すと、写真の画像がCDになって帰ってくるというフォトCDサービスの特集です。川崎のヨドバシでフォトCDを頼んだ記憶があります。
1995年6月号
Windowsのゲーム特集です。
WinG(DirectXの前身)、OpenGLなどの専門的な解説がされています。
Oh! FM TOWNS 1995年7~12月号
可愛い絵柄はいいのですが、文字とかぶってしまい、ちょっと見にくいデザインになっています。
最後の12月号の広告に高倉健が登場しています。
1995年7月号
Freshシリーズにたった4か月で新機種登場。入れ替わりが激しい。因みにこの頃のTOWNSは販売が好調との事。
TOWNS発表前は68000系のCPUを期待する人たちもいましたが、結果的に386系を選んで正解でした。
1995年8月号
SCSI機器の特集。「MO・PD・ZIP」など、今となっては懐かしいメディアが掲載されています。
1995年9月号
フリコレもついに10まで到達!
フリコレ10はCD-ROMが豪華なゴールド仕様になっています。
1995年10月号
Pentium(P6)、AMD K86、Cyrlxなど本家・互換CPUメーカーが記載されています。
グラフィックアクセラレータS3、CIRRUS LOGIC、ATI(現AMD)、WEITEK POWERなど、懐かしいメーカーが並んでいます。
1995年11月号
Windows95が発売間近ということで特集が組まれています。先月のCPU・ビデオカード特集といい、もう国内のパソコンはWindows系に集約されつつあります。
1995年12月号
AT互換機のTOWNS登場記事。ざっくりいうとFMV(富士通製AT互換機)のPCIバスにTOWNSの一部機能が乗ったカードを刺して動く仕組み。
IBMのDOS/Vパソコン「Vision」の時は拡張ボードにTOWNSの機能が全部乗っている状態(CD・FDドライブは共有)でしたが、V-TOWNSでは、CPU・メモリなどAT互換機と共有しているとの事。
が、しかし96年1月号の分解ではPCIバスのTOWNSカードにVMテクノロジー製の386SX互換CPUが載っていると書かれています。
Oh! FM TOWNS 1996年1~2月号
ついにOh! FM TOWNSも廃刊(最終号)になりました。
裏表紙は、FMV-TOWNSと高倉健の広告。
1996年1月号
特集ではFMV-TOWNSの分解、Windows95の発売レポートなどがあります。
Oh! FM TOWNSの最後の分解特集。まずはシャーシから。
続いてメインのマザーボード。右側の基盤はビデオ入出力とFAXモデム。
左ページは「MPEGカード・SCSIカード・サウンドカード・前面パネル」、右ページは「TOWNSカード・ライザーカード」。
1995年11月23日、午前0時に秋葉原で一斉に発売されたWindows95のレポートが掲載されています。この様子はテレビで中継もされました。
深夜にOSを買い求めるって時代ですね。
1996年2月号
最終号の目次。フリコレ11・覆面座談会等。
最後のフリーソフトウェアーコレクション11特集。
現役・OBスタッフによる座談会。色々裏話が聞けて面白いです。 初代TOWNSの1MBモデルはいらなかったは同感です。
当時のスペックでは安いとされていましたが、メモリを2MBに統一、ノンウエイトをベースにしていれば、ゲーム会社は開発が少し楽できたのに・・・というのはタラればですね。
最後の編集後記は、編集長による涙の苦労話。お疲れさまでした。
最終号の広告ページ。目立つ所だと
- エプソン カラリオ MJ-500C(プリンタ) 30,300円
- 三菱 ダイヤモンドトロン RD-17GII(モニター) 97,000円
- 飯山 ダイヤモンドトロン MT-8617E(モニター) 79,800円
- ロジテック SHD-B340AU(HDD) 20,800円
- Windows3.1(L12) TOWNS用 13,200円
懐かしい型番ばかりです。この頃になると周辺機器もWindowsベースですね。
因みにTOWNS(モニター・キーボード込み)の中古価格を見てみると、
- モデル2/DP533/KB101 37,000円
- モデル20F/DP533/KB101 39,000円
- モデル40H/DP531/KB101 47,000円
- モデルUX20/KB101 39,800円
- モデルCX20/DP533/KB101A 49,000円
- TOWNS2 ME20/FMTD8371 69,800円
- TOWNS2 HR20/DP533/KB101A 79,000円
- TOWNS2 MX2A/DP533 128,000円
今(2023年)のオークション価格より少し安く買えます。
以上、Oh! FMで振り返る富士通のパソコン歴史でした。今と違って、変化にとんだパソコン業界でした。
当時の富士通パソコン開発担当者さま、雑誌編集部の皆さま、いい思い出をありがとうございました。
もっと当時のことに浸りたい方は、WikiペディアのFM-7、FM TOWNSのページをどうぞw
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