PDFを扱う際に使われる代表的なソフトに「Adobe Acrobat」と「Adobe Reader」があります。どちらも同じAdobe社の製品ですが、実はできることに大きな差があります。
本記事では、有料版のAcrobatと無料版のReaderの違いを比較表でわかりやすく解説し、さらに有料版プラン(StandardとPro)の違いや無料で使える代替ソフトについても紹介します。
Adobe Reader(無料版)とは
Adobe Readerは無料で利用できるPDF閲覧ソフトです。
基本的には「PDFを開いて読む」ことに特化しており、シンプルな利用に最適です。主な機能は以下の通りです。
- PDFを開いて閲覧する
- テキスト検索・コピー
- 印刷
- コメントや注釈を追加(限定的)
- フォーム入力と保存
つまり、PDFを「読む・確認する」用途であればReaderで十分です。
Adobe Acrobat(有料版)とは
Adobe Acrobatは有料の総合PDFソフトで、閲覧だけでなく編集・作成まで可能です。
特にビジネス用途で重宝される機能が豊富に揃っています。
- PDFの新規作成
- ページ編集(削除・回転・入れ替え)
- 複数ファイルの結合
- パスワード設定や暗号化
- WordやExcelなどへの変換
- OCR機能で紙の文書をデジタル化
- 電子署名やスタンプの追加
仕事でPDFを扱う機会が多い人や、効率的に編集したい人に向いています。
Acrobat有料版とAdobe Reader無料版の比較表
項目 | Adobe Reader(無料) | Adobe Acrobat(有料) |
---|---|---|
価格 | 無料 | 月額 約1,800円〜2,000円 |
PDF閲覧 | 可能 | 可能 |
注釈・コメント | 簡易的に可能 | 高度な編集が可能 |
ページ編集 | 不可 | 可能(削除・並び替え・回転) |
PDF作成 | 不可 | 可能 |
ファイル結合 | 不可 | 可能 |
Office形式への変換 | 不可 | 可能 |
OCR機能 | 不可 | 可能 |
セキュリティ設定 | 閲覧権限のみ | パスワード・暗号化対応 |
Acrobat 有料版プラン比較(StandardとProの違い)
Acrobatの有料版には「Standard」と「Pro」があり、料金や機能に違いがあります。どちらを選ぶべきか迷っている人向けに比較表をまとめました。
項目 | Acrobat Standard | Acrobat Pro |
---|---|---|
価格 | 月額 約1,800円 | 月額 約2,180円 |
基本的なPDF編集 | 対応 | 対応 |
ファイル結合・ページ編集 | 対応 | 対応 |
OCR機能 | 対応 | 対応 |
パスワード設定・暗号化 | 対応 | 対応 |
電子署名 | 基本機能のみ | 高度な署名機能(監査証跡付き) |
高度な比較機能 | 非対応 | 対応(2つのPDFを比較して差分を表示) |
プリフライトチェック | 非対応 | 対応(印刷入稿用の高度なチェック機能) |
対象ユーザー | 一般的なビジネス利用 | 法務・デザイン・出版など専門業務 |
標準的な編集や結合が目的ならStandardで十分ですが、契約書管理や出版・印刷業務のように高度なチェック機能が必要な場合はProを選ぶのがおすすめです。
料金の違い
Adobe Readerは完全無料で利用できますが、Acrobatは有料のサブスクリプション形式です。
個人利用では月額1,800円前後、ビジネスプランではさらに高機能版も用意されています。費用はかかりますが、業務効率化の効果を考えると十分な投資価値があります。
どんな人にどちらがおすすめか
- PDFを閲覧・印刷するだけの人 → Adobe Readerで十分
- 契約書やマニュアルを編集・結合する人 → Acrobatがおすすめ
- 紙の資料をスキャンしてデジタル管理したい人 → AcrobatのOCR機能が必須
- セキュリティを重視したい企業 → Acrobatによる暗号化やパスワード保護が有効
無料で使える代替ソフトとの比較
「Acrobatは高いから無料で編集したい」というニーズもあります。実際に無料で使える代替ソフトやWebサービスもあります。
- PDF-XChange Editor(無料版) → 注釈や簡単な編集が可能
- Foxit PDF Reader → 動作が軽く、ビジネスでも人気
- オンラインサービス(ILovePDF、SmallPDFなど) → PDFの結合・分割がブラウザ上でできる
ただし、無料ソフトやWebサービスはセキュリティ面に不安があり、重要書類の編集には不向きです。ビジネスで使うならやはりAcrobatが安心です。
導入事例
例えば、社内で複数人が同じ契約書をやり取りする場合、Acrobatを使えば結合・ページ削除・パスワード設定などをスムーズに行えます。
一方、外出先で資料を確認するだけならReaderで十分です。このように「作業内容」によって最適なソフトが変わります。
よくある質問(Q&A)
Q1. AcrobatとReaderを両方インストールする必要はありますか?
いいえ。Acrobatを契約すればReaderの機能も含まれているため、基本的にはAcrobatだけで問題ありません。
Q2. Acrobatは買い切り版はありますか?
以前は「Acrobat Pro 永続ライセンス版」が販売されていましたが、現在はサブスクリプション(月額/年額)が主流です。常に最新機能を使えるメリットがあります。
Q3. 無料でPDF編集できる他のソフトはありますか?
一部のフリーソフトやオンラインサービスでもPDF編集は可能ですが、セキュリティ面や安定性ではAcrobatが安心です。特に業務用途ではAcrobatを推奨します。
Q4. Readerでパスワード付きPDFは開けますか?
はい、Readerでもパスワードが設定されたPDFを開くことは可能です。ただし、パスワードを「設定する」機能はReaderにはありません。
Q5. 学生や教育機関向けに割引はありますか?
Adobeは学生・教職員向けに大幅割引プランを提供しています。一般ユーザーより安くAcrobatを利用できます。
まとめ
Adobe Readerは「閲覧専用ソフト」、Adobe Acrobatは「編集・作成まで可能な総合ソフト」と考えるとわかりやすいです。
さらにAcrobatにはStandardとProの2種類があり、利用目的によって選べます。無料の代替ソフトもありますが、セキュリティ面や業務効率を考えるとAcrobatが最適です。
自分の利用目的を明確にして、最適なPDFソフトを選びましょう。