
AcrobatやAdobe Readerでは、下線や取り消し線、矢印などの「注釈」を追加したあとに、色や線の種類、透明度、スタイルといった細かい設定を変更できます。
これらの設定は「注釈プロパティ」と呼ばれており、使いこなすことでPDFの見やすさや伝わりやすさが大きく変わります。
この記事では、注釈プロパティを開く方法から、各項目の具体的な変更手順までをまとめて解説します。
注釈プロパティの設定項目について
この記事で紹介している注釈プロパティの設定項目は、すべての注釈で共通して表示されるわけではありません。
下線や取り消し線、矢印など、注釈の種類によって表示されるプロパティ項目が異なります。
例えば、下線の注釈では矢印の種類や先端形状といった項目は表示されません。項目が見当たらない時は「選択している注釈の種類による違い」だとご理解の上で読み進めてください。
この記事では、矢印の注釈プロパティを使って解説します。
注釈プロパティとは何か
注釈プロパティとは、PDFに追加した注釈の見た目や情報を調整するための設定画面です。注釈プロパティでは、主に次のような項目を変更できます。
・線や文字の色
・線の種類(実線、破線、波線など)
・線の太さ
・透明度(不透明度)
・作者名(作成者)
・コメントの内容
下線、取り消し線、囲み線、矢印など、多くの注釈で共通して使えるのが特徴です。
注釈プロパティを開く方法

① プロパティを開きたい注釈をクリックした後、右クリック。
② 表示されたメニューから「プロパティ」をクリック。

これで、注釈プロパティのウィンドウが表示されます。
この画面から各設定を行います。表示された状態では「表示方法」のタブが表示されます。
他の「一般」「レビューの履歴」タブをクリックすること、それぞれの設定項目が表示されます。
注釈プロパティの各設定項目
色を変える

① 色の項目をクリックすると、カラーパレットが表示されるので変更したい色をクリック*1します。
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。すると矢印が指定した色に変更されます。
*1 カラーパレットの下にある「その他のカラー」をクリックすると、自分の好きな色を作って指定することができます。
線の太さを変える

① 「太さ項目」で、希望の数字を入力または矢印をクリックして数値を変えます。ここでは3ポイントにしました。
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。

すると、線の太さが変わりました。しかし太さが変わったせいで、矢印の長さのバランスが悪くなりましたので、長さを調整したいと思います。次の項目を続けてご覧ください。
線の長さを変更する

注釈(矢印)をクリックすると、線の先頭と後ろ側に丸い印が表示されます。この上でマウスの左ボタンをしたまま、線を伸ばしたい位置まで引っ張って離します。

すると、線の長さが変わり見栄えが良くなりました。
注釈の半透明度を変更する

文章の上に矢印を重ねると、文字が隠れて読みにくくなることがあります。そんな時は、不透明度を下げて半透明にすると、下の文字が透けて見えるようになり、読みやすくなります。

① 「不透明度」の項目を下のスライダーのつまみを使って移動させます(直接、半角数字を入力してもOK)。
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。これで注釈の透明度が変わります。
線の表示を点線にする

矢印を点線(破線)で表示する方法を紹介します。点線にすることで、通常の矢印と使い分けができ、資料が見やすくなります。
カラー印刷の場合は色で区別できますが、上記のようにモノクロ印刷では点線による使い分けが視認性が良く、とても便利です。

① 「スタイル」項目から変更したい点線を選びます。
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。これで矢印が点線になります。
矢印・線の終わり側又は両方に矢印を付ける

矢印を始点・終点で表示するかを指定することができます。

① 「始点」「終点」項目に、「なし」か「開いた矢印」を選びます。
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。
矢印の形を変更する

全部で9種類の矢印が用意されています。用途や好みに合わせて使い分けができます。

① 「始点」又は「終点」項目から次の項目を選びます。
- なし
- 開いた矢印
- 閉じた矢印
- 開いた矢印(内向き)
- 閉じた矢印(内向き)
- 突合わせ
- ひし形
- 円形
- 四角形
- スラッシュ
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。
矢印の中を塗りつぶす

先ほど紹介した矢印のうち、「閉じた矢印」「閉じた矢印(内向き)」「ひし形」「円形」「四角形」には、枠の内側に色が入っていません。
ここでは、それらの矢印の内側を塗りつぶしたい場合の設定方法を紹介します。

① 「塗りつぶしの色」項目で、希望の色を選択します。
② 下にある「OK」ボタンをクリックします。これで矢印の内側に色が塗りつぶされました。
注釈にメモを書く

矢印に対して付箋のようなコメントをつけることができます。
① 矢印の上にマウスカーソルを持って行き右クリック。
② メニューの中から「ポップアップノートを開く」をクリック。

① 入力欄が表示されるので、コメントを入力して
② 「投稿」をクリック。

矢印の上にマウスカーソルを移動させると、入力したコメントがポップアップで表示されます。
また、コメントが付いている矢印には、下部に「コメントマーク」が表示されるため、どの矢印にコメントがあるのか、ひと目で分かります。
プロパティを固定して次回も同じ設定を使う

今後同じような設定で矢印を描きたい場合は、「プロパティをデフォルトとして設定」をオンにしておくと便利です。
① 対象の矢印(破線)の上で右クリック。
② 表示されたメニューから「現在のプロパティをデフォルトとして使用」をクリック。

新しく矢印を描くとデフォルト設定した内容で、破線の矢印が表示されます。同じスタイルの矢印の設定を続けて使うことができるので、作業がスムーズになります。
まとめ
Adobe Acrobatでは、注釈ツールで作った矢印などに対し、色や太さの変更、スタイルなど簡単に変更でき活用することで、PDFの説明がぐっと分かりやすくなります。
作業手順を覚えておくと、資料作成や共有がとてもスムーズになるので、ぜひ活用してみてください。

