
AcrobatやAcrobat Readerが強制終了すると、入力した文字、フォームの内容、注釈、ハイライト、ページ編集などが保存されていないことがあります。
Acrobatの自動保存が有効で、一時的な復元データが残っていれば、再起動時に未保存の変更を復元できる可能性があります。
ただし、自動保存は元のPDFを定期的に上書きする機能ではありません。
強制終了や停電に備えて、変更内容を一時ファイルへ保存する復旧用の機能です。
この記事では、Acrobat再起動時の復元方法、自動保存ファイルの保存場所、復元できない場合の確認方法を解説します。
強制終了した後に最初に試す復元方法
Acrobatが強制終了した後は、次の順番で復元を試します。
1.AcrobatまたはAcrobat Readerを起動します。
2.自動保存ファイルを開く確認画面が表示されたら「はい」を選択します。
3.複数のPDFが開いていた場合は、復元可能なPDFがまとめて開かれます。
4.復元された内容を確認します。
5.すぐに「名前を付けて保存」を実行します。
復元されたPDFは、元のファイルへ上書きせず、最初は別の名前で保存することをおすすめします。
保存後にPDFを開き直し、ページ、文字、注釈、フォームなどが正常に残っているか確認してください。
自動復元の確認画面が表示された時の注意点
復元確認画面が表示されたら、内容を確認せずに「いいえ」や「キャンセル」を選ばないでください。
自動保存データは一時的な復旧データであり、通常のバックアップファイルではありません。
Acrobatを正常に閉じたり、復元を拒否したりすると、一時ファイルが削除される可能性があります。
復元されたPDFが開いたら、ほかの操作をする前に別名で保存してください。
Acrobatの自動保存とは
Acrobatの自動保存は、開いているPDFに加えた変更を一定間隔で一時ファイルへ記録する機能です。
元のPDFそのものは、自動保存によって上書きされません。
Acrobatを再起動すると、元のPDFへ自動保存された変更を適用して復元を試みます。
通常どおりPDFを保存した場合や、PDFを閉じた場合は、自動保存ファイルが削除されます。
「最後に保存した状態へ戻す」を実行した場合も、自動保存ファイルが削除されます。
自動保存は履歴を残すバックアップではない
自動保存フォルダーには、数分ごとの完成したPDFが何世代も保存されるわけではありません。
自動保存は、強制終了直前の作業状態を復元するための一時的なデータです。
正常に閉じる際に「保存しない」を選んだPDFを、あとから自動保存フォルダーから戻すことは通常できません。
過去の状態を残したい場合は、手動保存、別名保存、クラウドストレージのバージョン履歴などを併用する必要があります。
Windowsで自動保存ファイルを確認する場所
Acrobatの自動復元画面が表示されない場合は、自動保存フォルダーを確認します。
Windowsでよく使用される自動保存場所は、次のフォルダーです。
%AppData%\Adobe\Acrobat\DC\AutoSave
実際のパスでは、次のような形式になります。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Adobe\Acrobat\DC\AutoSave
Acrobatのバージョンによっては、「DC」の部分がバージョン番号のフォルダーになっている場合があります。
WindowsでAutoSaveフォルダーを開く手順
1.エクスプローラーを開きます。
2.アドレスバーへ%AppData%\Adobe\Acrobatと入力します。
3.「DC」または使用中のバージョン番号のフォルダーを開きます。
4.「AutoSave」フォルダーがあるか確認します。
5.更新日時が強制終了した時刻に近いファイルを探します。
AppDataは通常非表示ですが、%AppData%を使用すれば非表示設定を変更せずに開けます。
Windowsの一時フォルダーも確認する
AutoSaveフォルダーに見つからない場合は、Windowsの一時フォルダーも確認します。
エクスプローラーのアドレスバーへ%TEMP%と入力してください。
一般的には、次の場所が開きます。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Temp
表示を更新日時順に並べ替え、強制終了した時刻に作成または更新されたファイルを探します。
ファイル名に「Acrobat」「Adobe」「Acr」などが含まれている場合があります。
ただし、ファイル名や拡張子は環境によって異なり、必ずPDF形式で保存されているとは限りません。
macOSで自動保存ファイルを確認する場所
macOSでよく使用される自動保存場所は、次のフォルダーです。
~/Library/Application Support/Adobe/Acrobat/DC/AutoSave
Acrobatのバージョンによっては、「DC」の部分がバージョン番号になっている場合があります。
ユーザーのLibraryフォルダーは、初期設定では非表示になっています。
macOSでAutoSaveフォルダーを開く手順
1.Finderを開きます。
2.画面上部の「移動」→「フォルダへ移動」を選択します。
3.~/Library/Application Support/Adobe/Acrobat/と入力します。
4.「DC」または使用中のバージョン番号のフォルダーを開きます。
5.「AutoSave」フォルダーを確認します。
AutoSaveフォルダーが見つからない場合は、Library内で「AutoSave」または「Acrobat」を検索します。
macOSの一時フォルダーを確認する
AutoSaveフォルダーにデータがない場合は、macOSの一時フォルダーに関連ファイルが残っている可能性もあります。
ただし、macOSの一時フォルダーは場所やフォルダー名が環境によって変わります。
Finderで更新日時が強制終了時刻に近いPDFや一時ファイルを検索してください。
一時フォルダー内のファイルを直接削除したり移動したりする前に、候補ファイルを別のフォルダーへコピーします。
自動保存フォルダーでファイルを見つけた時の復元方法
自動保存フォルダーで候補ファイルを見つけたら、最初にそのファイルをデスクトップなどへコピーします。
AutoSaveフォルダー内のファイルを直接編集したり、上書きしたりしないでください。
拡張子がPDFの場合は、コピーしたファイルをAcrobatで開けるか確認します。
拡張子がTMPやDATなどの場合は、Acrobatで直接開けないことがあります。
Acrobatの自動保存データは、元のPDFへ変更内容を適用するための差分データであり、単独で完成したPDFとして開けない場合があります。
拡張子をPDFへ変更するだけで復元できるとは限りません。
元のPDFが残っている場合は、元のPDFと候補の一時ファイルを削除せずに保管してください。
業務上重要なファイルでは、無理に変換せず、システム管理者やAdobeのサポートへ相談する方法が安全です。
最近使用したファイルから元のPDFを確認する
Acrobatを起動し、ホーム画面の「最近使用したファイル」を確認します。
最近使用したファイルには、強制終了前に開いていた元のPDFが表示されることがあります。
ここから開けるのは、基本的に最後に保存された元のPDFです。
未保存の変更まで残っているとは限りません。
元のPDFの保存場所が分からなくなった場合の確認方法として利用してください。
元のPDFがメールやブラウザーから開いたものだった場合
メールの添付ファイルやブラウザー上のPDFを直接開いて編集した場合は、通常の保存場所とは異なる一時フォルダーから開かれていることがあります。
まず、メールの添付ファイルやダウンロード元から元のPDFをもう一度取得します。
ダウンロードフォルダーに同じ名前のPDFが残っていないかも確認してください。
ブラウザー内で表示していたPDFは、Acrobatの自動保存の対象にならない場合があります。
今後編集する場合は、最初にPDFをパソコン内へ保存し、デスクトップ版Acrobatで開いてください。
OneDriveなどのバージョン履歴を確認する
PDFをOneDrive、Dropbox、SharePointなどの同期フォルダーへ保存していた場合は、バージョン履歴を確認します。
以前に手動保存した時点のPDFが、過去のバージョンとして残っている可能性があります。
Windowsのファイル履歴やmacOSのTime Machineを設定している場合も、以前の保存状態を復元できることがあります。
これらの機能で戻せるのは、基本的に一度保存されたファイルです。
Acrobat上で一度も保存していない変更は、バックアップや同期の対象になっていない可能性があります。
自動保存ファイルが作成されないケース
自動保存を有効にしていても、すべてのPDFで復元データが作成されるわけではありません。
次のような場合は、自動保存が機能しないことがあります。
自動保存の間隔になる前に強制終了した
自動保存を10分間隔に設定している場合は、強制終了のタイミングによって最大で直前の約10分間の変更が失われる可能性があります。
PDFを開いてから最初の自動保存が行われる前に終了した場合は、復元データが作られていないことがあります。
PDFを正常に閉じて「保存しない」を選んだ
自動保存は、操作ミスで閉じたPDFの変更履歴を残す機能ではありません。
正常にPDFを閉じると、自動保存用の一時ファイルは削除されます。
「保存しない」を選んだ後から、Acrobatの自動保存で変更を復元することは通常できません。
セキュリティ設定を変更した直後
PDFのセキュリティ設定を変更すると、自動保存が一時的に機能しなくなる場合があります。
セキュリティを変更したPDFは、一度手動で保存すると自動保存が再び有効になります。
抽出して作成したPDFを一度も保存していない
「ページを整理」の抽出機能で作成したPDFは、一度保存するまで自動保存が機能しません。
WebページからPDFを作成するWebキャプチャ機能を使用した文書も、一度保存する必要があります。
ブラウザー内でPDFを編集していた
ブラウザー内に表示されたPDFや、ほかのアプリ内に埋め込まれたPDFは、Acrobatの自動保存に対応しない場合があります。
重要な編集では、PDFをパソコン内へ保存してからデスクトップ版Acrobatで開きます。
一時フォルダーの空き容量や書き込みに問題がある
保存先ドライブの空き容量不足、アクセス権、セキュリティソフト、一時ファイルの削除ツールなどが自動保存を妨げることがあります。
ストレージの空き容量を確保し、Acrobatとパソコンを最新版へ更新してください。
自動保存を有効にする方法
今後の強制終了に備えて、Acrobatの自動保存設定を確認します。
Windowsで設定する手順
1.AcrobatまたはAcrobat Readerを起動します。
2.左上のメニューから「環境設定」を選択します。
3.以前の画面では「編集」→「環境設定」を選択します。
4.左側のカテゴリーから「文書」を選択します。
5.「文書の変更を一時ファイルに自動保存する間隔」を有効にします。
6.1分から99分の範囲で保存間隔を指定します。
macOSで設定する手順
1.AcrobatまたはAcrobat Readerを起動します。
2.画面上部の「Acrobat」→「環境設定」を選択します。
3.左側のカテゴリーから「文書」を選択します。
4.「文書の変更を一時ファイルに自動保存する間隔」を有効にします。
5.1分から99分の範囲で保存間隔を指定します。
自動保存の間隔は何分がおすすめ?
注釈やフォーム入力などを長時間行う場合は、3分から5分程度を目安にすると、強制終了時の損失を減らせます。
容量が大きいPDFや処理が重いパソコンでは、自動保存のたびに一時的に動作が重くなる場合があります。
動作への影響が大きい場合は、5分から10分程度へ調整してください。
自動保存の間隔を短くしても、手動保存が不要になるわけではありません。
復元後は必ず別名で保存する
復元されたPDFが開いたら、すぐに「名前を付けて保存」を実行します。
ファイル名の末尾へ「復元」「recovered」などを付け、元のPDFとは別のファイルとして保存してください。
元のPDFへ直接上書きすると、復元内容に問題があった場合に正常な元ファイルまで失う可能性があります。
保存後はPDFを閉じてから開き直し、ページ数、文字、画像、注釈、フォームの内容を確認します。
電子署名付きPDFは、保存や編集によって署名の検証結果が変わることがあるため注意してください。
どうしても復元できない場合
Acrobat再起動時に復元確認が表示されず、AutoSaveフォルダーと一時フォルダーにもデータがない場合は、Acrobatから未保存の変更を復元することは難しくなります。
自動保存は一時的な復旧機能であり、別の場所に常時バックアップを残しているわけではありません。
元のPDF、メールの添付ファイル、ダウンロードフォルダー、クラウドのバージョン履歴、Windowsのファイル履歴、Time Machineなどを確認してください。
機密情報が含まれるPDFを、出所の分からないオンライン修復サービスへアップロードしないでください。
未保存の変更を失わないための対策
自動保存を有効にしたうえで、作業中は定期的に手動保存します。
WindowsではCtrlキーとSキー、macOSではCommandキーとSキーで保存できます。
重要な作業を始める前に、メールやブラウザーから開いたPDFをパソコン内へ保存します。
大きく編集する前は、元のPDFを複製して作業用ファイルを作成します。
作業の区切りごとに別名保存すると、PDFが破損した場合にも前の状態へ戻しやすくなります。
よくある質問
自動保存を有効にしていたのに復元されないのはなぜですか?
最初の自動保存が行われる前に強制終了した場合や、自動保存の対象外となるPDFだった可能性があります。
一時フォルダーの空き容量、アクセス権、セキュリティ設定などに問題があった可能性もあります。
自動保存ファイルは普通のPDFとして開けますか?
自動保存データは、元のPDFへ変更を適用するための一時データとして保存される場合があります。
そのため、ファイルを単独で開いたり、拡張子をPDFへ変更したりしても復元できないことがあります。
保存せずに閉じたPDFを復元できますか?
正常に閉じる際に「保存しない」を選んだ場合は、自動保存ファイルが削除されるため、通常は復元できません。
自動保存は、保存し忘れを補う履歴機能ではなく、異常終了に備える復旧機能です。
自動保存で元のPDFも更新されますか?
自動保存では元のPDFは更新されません。
元のPDFへ変更を確定させるには、通常の保存操作が必要です。
Acrobat Readerでも自動保存できますか?
Acrobat Readerでも、注釈やフォーム入力など、Readerで保存できる変更には自動保存設定を利用できます。
ただし、PDFの権限や開き方によっては自動保存できないことがあります。
まとめ
Acrobatが強制終了した後は、まずAcrobatを起動し、自動保存ファイルを開く確認画面で「はい」を選択します。
復元されたPDFが開いたら、すぐに元のPDFとは別の名前で保存してください。
自動復元されない場合は、Windowsの%AppData%\Adobe\Acrobat\DC\AutoSaveや、macOSの~/Library/Application Support/Adobe/Acrobat/DC/AutoSaveを確認します。
ただし、自動保存は通常のバックアップではなく、正常終了時には一時ファイルが削除されます。
復元できない事態に備え、自動保存を有効にしながら、手動保存と別名保存も定期的に行いましょう。
