
AcrobatでPDFを開くと、画面上部に「PDF/Aモードで開いています」などと表示され、文字の編集や注釈の追加ができないことがあります。
PDF/Aは、文書を長期間にわたって同じ状態で保存するための規格です。
AcrobatはPDF/A規格を維持するため、対象のPDFを読み取り専用モードで開くことがあります。
PDF/Aの表示設定を変更すれば編集できるようになりますが、編集後のPDFはPDF/A規格に適合しなくなる可能性があります。
この記事では、PDF/Aモードを解除して編集する方法と、PDF/A情報そのものを削除する方法を解説します。
PDF/Aモードを解除する方法
PDF/Aモードで編集できない場合は、Acrobatの環境設定を変更します。
設定を変更する前に、元のPDFを複製してバックアップを作成してください。
WindowsでPDF/Aモードを解除する手順
1.AcrobatまたはAcrobat Readerを起動します。
2.画面左上のメニューから「環境設定」を選択します。
3.以前の画面では「編集」→「環境設定」を選択します。
4.左側のカテゴリーから「文書」を選択します。
5.「PDF/Aモードで文書を表示」または「PDF/A表示モード」を確認します。
6.設定を「なし」または「適用しない」に変更します。
7.「OK」を選択して環境設定を閉じます。
8.対象のPDFをいったん閉じてから開き直します。
英語表示の場合は、「View Documents In PDF/A Mode」を「Never」に変更します。
macOSでPDF/Aモードを解除する手順
1.AcrobatまたはAcrobat Readerを起動します。
2.画面上部の「Acrobat」→「環境設定」を選択します。
3.左側のカテゴリーから「文書」を選択します。
4.「PDF/Aモードで文書を表示」または「PDF/A表示モード」を確認します。
5.設定を「なし」または「適用しない」に変更します。
6.「OK」を選択して環境設定を閉じます。
7.対象のPDFをいったん閉じてから開き直します。
英語表示の場合は、「View Documents In PDF/A Mode」を「Never」に変更します。
設定変更後にPDFを編集する
PDFを開き直し、画面上部のPDF/Aに関するメッセージが消えているか確認します。
Acrobatでは、「編集」または「PDFを編集」を選択して文字や画像を編集します。
注釈を追加する場合は、「コメント」を開いて、ハイライトやテキスト注釈を追加します。
編集できることを確認したら、元のPDFとは異なる名前で保存してください。
元のPDFへ上書きすると、PDF/A規格を維持した原本を失う可能性があります。
「なし」に変更してもPDF/A自体が解除されるわけではない
環境設定の「PDF/Aモードで文書を表示」を「なし」にする操作は、Acrobatの読み取り専用表示を解除する設定です。
PDFに記録されたPDF/Aの識別情報そのものを削除する操作ではありません。
編集や保存によって、PDF/Aの要件を満たさなくなったり、適合情報が無効になったりする可能性があります。
PDF/A情報そのものを削除したい場合は、Acrobat Proのプリフライトを使用します。
Acrobat ProでPDF/A情報を削除する方法
Acrobat Proでは、プリフライト機能を使ってPDF/A固有の情報を削除できます。
この操作は元に戻せない場合があるため、必ず複製したPDFで実行してください。
プリフライトでPDF/A情報を削除する手順
1.対象のPDFをAcrobat Proで開きます。
2.「すべてのツール」を選択します。
3.「印刷工程を使用」を開きます。
4.「プリフライト」を選択します。
5.ライブラリの一覧から「PDF標準」を選択します。
6.「フィックスアップ」タブを選択します。
7.「文書情報とメタデータ」の項目を展開します。
8.「PDF/A情報を削除」を選択します。
9.「フィックス」または「修正」を選択します。
10.保存場所とファイル名を指定して保存します。
Acrobatのバージョンによって、項目名や配置が異なる場合があります。
「PDF/A情報を削除」が見つからない場合
プリフライト画面の検索欄へ「PDF/A」または「PDF/A情報を削除」と入力します。
ライブラリが「PDF標準」以外になっている場合は、PDF/A関連の項目が表示されないことがあります。
プリフライトは、基本的にAcrobat Proで利用できる機能です。
Acrobat ReaderではPDF/A情報を削除できません。
PDF/Aモードとは
PDF/Aは、電子文書を長期保存するために定められたISO規格です。
将来も同じように表示できるように、文書で使用するフォントや色情報などをPDF内へ保存します。
外部ファイルに依存する要素や、長期保存に適さない一部の機能は制限されます。
行政文書、契約書、請求書、図面、スキャン文書などの保存に使用されることがあります。
PDF/Aモードで読み取り専用になる理由
PDF/A文書を編集すると、埋め込まれたフォントやメタデータなどが変化し、PDF/Aの要件を満たさなくなる可能性があります。
Acrobatは意図しない変更を防ぐため、PDF/A文書を読み取り専用の表示モードで開きます。
PDF/A表示モードでは、文字や画像の編集だけでなく、注釈やフォーム入力なども制限されることがあります。
PDF/Aかどうかを確認する方法
PDF/A文書を開くと、画面上部の文書メッセージバーにPDF/Aに関する案内が表示されます。
より詳しく確認したい場合は、Acrobatの「規格」パネルを表示します。
規格パネルを表示する
1.Windowsでは、左上のメニューから「表示」を選択します。
2.macOSでは、画面上部の「表示」を選択します。
3.「表示切り替え」または「表示・非表示」から「サイドパネル」を開きます。
4.「規格」を選択します。
5.PDF/Aの種類や適合性情報を確認します。
Acrobatの画面によっては、左側のナビゲーションパネルから規格アイコンを選択します。
文書のプロパティも確認する
Windowsでは、左上のメニューから「文書のプロパティ」を選択します。
macOSでは、「ファイル」→「文書のプロパティ」を選択します。
「詳細設定」や「概要」に、PDF/Aに関する情報が表示される場合があります。
PDF/Aと表示されていても、現在のファイルが実際に規格へ適合しているとは限りません。
Acrobat Proの規格パネルから「適合性を検証」を実行すると、現在の状態を確認できます。
編集後もPDF/Aとして保存したい場合
PDF/Aとして保管する必要がある文書は、編集後にもう一度PDF/Aへ変換します。
Acrobat Proでは、「すべてのツール」→「PDF標準を適用」から「PDF/Aとして保存」を選択できます。
プリフライトのPDF/A適合プロファイルを使用して変換する方法もあります。
変換後は、規格パネルでPDF/Aへの適合性を検証してください。
提出先からPDF/A-1bやPDF/A-2uなどの種類を指定されている場合は、指定された規格で保存します。
PDF/Aモードを解除する時の注意点
元のPDFを残しておく
PDF/Aは、長期保存や正式な記録を目的として作成されている可能性があります。
原本として受け取ったPDFは変更せず、複製したファイルを編集してください。
編集後は、ファイル名に「編集用」や「修正版」などを付けて区別します。
設定変更はほかのPDF/Aにも適用される
「PDF/Aモードで文書を表示」を「なし」にすると、そのPDFだけでなく、今後Acrobatで開くPDF/A文書にも適用されます。
編集が終わったら、必要に応じて設定を「PDF/A文書のみ」に戻してください。
英語表示の場合は、「Only For PDF/A Documents」に戻します。
電子署名や証明書が無効になる可能性がある
電子署名付きPDFを編集して保存すると、署名後に変更された文書として扱われます。
署名の検証結果が無効になったり、変更済みと表示されたりする可能性があります。
署名付きの正式文書は編集せず、発行元へ編集可能なPDFや未署名の原本を依頼してください。
行政機関や取引先の指定を確認する
提出書類や保存義務のある文書では、PDF/A形式が指定されていることがあります。
PDF/Aを解除すると提出条件を満たさなくなる可能性があるため、提出先の指定を確認してください。
PDF/Aモードを解除しても編集できない場合
PDF/A表示モードを「なし」にしても編集できない場合は、別の制限が設定されている可能性があります。
Acrobat Readerで開いている
Acrobat Readerは、PDFの閲覧、注釈、フォーム入力などを中心とした無料ソフトです。
PDF/Aモードを解除しても、文字や画像を直接編集する機能は利用できません。
文字や画像を編集するには、編集機能を備えたAcrobatを使用します。
PDFにパスワードや権限制限が設定されている
PDFを開き、「文書のプロパティ」→「セキュリティ」を確認します。
「文書の変更」が許可されていない場合は、権限パスワードが必要です。
パスワードが分からない場合は、文書の作成者や発行元へ編集可能なPDFを依頼してください。
電子署名によってPDFがロックされている
署名時に文書をロックする設定が使用されていると、PDF/Aモードを解除しても編集できません。
署名済みPDFを編集するのではなく、署名前のPDFを文書の所有者から入手してください。
ファイルが読み取り専用になっている
Windowsでは、PDFを右クリックして「プロパティ」を開き、「読み取り専用」を確認します。
macOSでは、PDFを選択して「情報を見る」を開き、「共有とアクセス権」を確認します。
メール、USBメモリ、共有フォルダーなどから開いている場合は、パソコン内へコピーして別名保存します。
スキャンした画像だけのPDFになっている
PDF/Aモードを解除しても、スキャン画像内の文字をそのまま編集できない場合があります。
Acrobatの「スキャンとOCR」から文字認識を実行してから編集してください。
OCR後は文字やレイアウトが変化することがあるため、元のPDFと比較します。
ブラウザー内でPDFを開いている
ChromeやMicrosoft Edgeなどのブラウザーでは、Acrobatの編集機能を利用できません。
PDFをパソコンへダウンロードし、デスクトップ版Acrobatで開いてください。
印刷して通常のPDFを作る方法はおすすめ?
PDF/A情報を削除できない場合は、印刷機能から新しいPDFを作成する方法もあります。
Windowsでは「Microsoft Print to PDF」や「Adobe PDF」を選択します。
macOSでは印刷画面の「PDF」から「PDFとして保存」を選択します。
ただし、印刷で作り直すと、しおり、リンク、フォーム、添付ファイル、レイヤー、メタデータ、電子署名などが失われることがあります。
文字が画像化され、検索やコピーができなくなる場合もあります。
Acrobat Proを利用できる場合は、印刷よりもプリフライトでPDF/A情報を削除する方法を優先してください。
よくある質問
PDF/Aモードを解除すると元のPDFも変わりますか?
環境設定を変更しただけでは、元のPDFの内容は変わりません。
その後に編集して保存すると、PDFの内容やPDF/Aへの適合状態が変わる可能性があります。
Acrobat ReaderでもPDF/Aモードを解除できますか?
Acrobat Readerでも、環境設定からPDF/A表示モードを「なし」に変更できます。
ただし、Readerには文字や画像を直接編集する機能がないため、解除後も本格的な編集はできません。
PDF/Aモードを解除しても印刷できますか?
PDF/Aモードの設定にかかわらず、文書側で印刷が許可されていれば印刷できます。
印刷できない場合は、「文書のプロパティ」→「セキュリティ」で印刷権限を確認してください。
PDF/A情報を削除すれば普通のPDFになりますか?
プリフライトでPDF/A固有の情報を削除すると、PDF/A文書として識別されなくなります。
ただし、フォントの埋め込みなど、PDF/A用に作成された文書内容の一部はそのまま残る場合があります。
編集後にPDF/Aへ戻せますか?
Acrobat Proの「PDF標準を適用」やプリフライトを使用して、編集後のPDFをPDF/Aへ変換できます。
変換後は適合性を検証し、提出先が指定するPDF/Aの種類と一致しているか確認してください。
まとめ
「PDF/Aモード」と表示され編集できない場合は、「環境設定」→「文書」を開き、PDF/A表示モードを「なし」に変更します。
設定変更後はPDFをいったん閉じてから開き直してください。
この設定は読み取り専用表示を解除するもので、PDF/A情報そのものを削除する操作ではありません。
PDF/A情報を削除する場合は、Acrobat Proのプリフライトから「PDF/A情報を削除」を実行します。
編集前のPDFを必ず残し、署名済み文書や提出形式が指定されたPDFは発行元や提出先へ確認してから変更しましょう。
