
AcrobatやAcrobat ReaderでPDFを編集したあとに保存しようとすると、「文書を読み取り中に問題が発生しました(110)」と表示されることがあります。
このエラーは、PDF内部のデータをAcrobatが正常に読み直せず、変更内容を含めたファイルを作成できない場合に発生します。
注釈や入力内容が未保存のときは、すぐにPDFを閉じず、この記事の「未保存の注釈や入力内容がある場合」を先に確認してください。
エラー110が出たときの対処法一覧
最初に、元のPDFを複製してバックアップを作成します。
そのうえで、次の順番に試すと原因を切り分けやすくなります。
1.別名でパソコン内に保存します。
2.Acrobatを更新し、別のPDFを保存できるか確認します。
3.PDFを最適化して、新しいファイルとして保存します。
4.印刷機能を使ってPDFを作り直します。
5.正常なページだけを抽出し、問題のあるページを特定します。
6.作成元のデータからPDFを再作成します。
特定のPDFだけでエラー110が出る場合は、そのPDFの内部構造に問題がある可能性が高いです。
複数の正常なPDFでも保存できない場合は、Acrobatの不具合や保存先のアクセス権を疑います。
「文書を読み取り中に問題が発生しました(110)」とは
エラー110は、AcrobatがPDF内の一部データを正しく解釈できないときに表示されるエラーです。
PDFを画面に表示できていても、保存時にはファイル全体の再処理が必要になるため、保存の段階で初めてエラーが見つかることがあります。
そのため、「PDFは開けるのに保存だけできない」という状態も珍しくありません。
エラーの原因になりやすいのは、壊れた画像やフォント、注釈、フォーム、しおり、リンク、メタデータ、ページ情報などです。
他社製ソフトや古いシステムから出力したPDF、複数のPDFを結合したファイル、スキャン後にOCR処理したファイルでも発生することがあります。
未保存の注釈や入力内容がある場合
保存できていない注釈、ハイライト、フォームの入力内容がある場合は、PDFを閉じる前に内容を退避します。
一度閉じると、未保存の変更を元に戻せない可能性があります。
注釈を別ファイルに書き出す
Acrobatのコメント機能を開き、オプションメニューから「すべてをデータファイルに書き出し」または同様の項目を選択します。
書き出したFDFまたはXFDFファイルは、作り直したPDFへ読み込める場合があります。
使用しているAcrobatの画面によって、項目名や配置は異なります。
入力内容を別の場所へコピーする
フォームに入力した文章は、可能な範囲でメモ帳やWordなどへコピーしておきます。
署名済みのPDFや複雑なフォームでは、印刷による作り直しを行うと入力欄や署名情報が失われることがあります。
重要な書類では、画面のスクリーンショットも保存しておくと安心です。
対処法1.別名でパソコン内に保存する
最初に、上書き保存ではなく別名保存を試します。
元のファイルとは異なる名前を付け、デスクトップやドキュメントなど、パソコン内の保存先を指定してください。
USBメモリ、NAS、共有フォルダー、OneDriveなどの同期フォルダーから開いている場合は、いったんローカルフォルダーへコピーしてから作業します。
ファイル名が長い場合や記号を多く含む場合は、「document.pdf」のような短い半角英数字の名前でも試します。
別名保存できた場合は、新しく作成されたPDFを閉じてから開き直し、ページや注釈が正常に表示されるか確認してください。
対処法2.別のPDFを保存して原因を切り分ける
新しい空のPDFや、これまで正常に使えていたPDFを開き、簡単な注釈を追加して保存します。
別のPDFを保存できる場合は、Acrobat本体ではなく、エラー110が出るPDFに問題があると考えられます。
どのPDFも保存できない場合は、Acrobatの更新、インストールの修復、保存先のアクセス権、セキュリティソフトなどを確認します。
対処法3.Acrobatを最新版へ更新する
Acrobatの不具合が更新で修正されている可能性があるため、最新版へ更新します。
Windowsでは、Acrobatを開き、メニューから「ヘルプ」→「アップデートの有無をチェック」を選択します。
macOSでは、画面上部の「ヘルプ」→「アップデートの有無をチェック」を選択します。
更新後はAcrobatとパソコンを再起動し、元のPDFを複製したファイルで保存を試してください。
Windowsではインストールの修復も試す
複数のPDFで保存エラーが発生する場合は、「ヘルプ」→「インストールの修復」を実行します。
修復が完了したらWindowsを再起動し、再度保存できるか確認します。
特定のPDFだけでエラー110が出る場合は、インストールを修復しても改善しないことがあります。
対処法4.PDFを最適化して保存する
Acrobat Proを使用している場合は、「最適化されたPDF」として保存すると、問題のある不要データが整理されて保存できることがあります。
元のPDFを複製してから、複製したファイルで作業してください。
Windowsでは、左上のメニューから「名前を付けて保存」または「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択します。
macOSでは、「ファイル」→「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」を選択します。
画面構成によっては、「すべてのツール」→「PDFを圧縮」から詳細な最適化設定を開けます。
最初は標準設定のまま、元のPDFとは異なる名前で保存します。
標準設定で失敗する場合は、「クリーンアップ」にある無効なリンクやしおりなどを削除する設定を試します。
設定によっては注釈、フォーム、レイヤー、埋め込みデータなどが削除されるため、内容を確認せずに元のファイルへ上書きしないでください。
Acrobat Readerでは、詳細なPDF最適化機能を利用できません。
対処法5.印刷機能で新しいPDFを作成する
内部構造が壊れたPDFでも、表示されているページを印刷用データとして書き出すことで、新しいPDFを作成できる場合があります。
Windowsでは、「印刷」を開き、プリンターで「Microsoft Print to PDF」または「Adobe PDF」を選択します。
macOSでは、印刷画面の「PDF」メニューから「PDFとして保存」を選択します。
Acrobatから印刷できない場合は、ChromeやMicrosoft EdgeでPDFを開き、ブラウザーの印刷機能から「PDFに保存」を試します。
作成したPDFは、すべてのページが表示され、文字や画像が欠けていないか確認してください。
印刷による作り直しの注意点
印刷して作成したPDFでは、しおり、リンク、添付ファイル、動画、フォーム、レイヤーなどが失われることがあります。
注釈が印刷対象になっていない場合は、コメントも新しいPDFに反映されません。
文字が画像化されると、検索やコピーができなくなることがあります。
電子署名付きPDFを印刷して作り直すと、元の電子署名としての検証情報は引き継がれません。
契約書や公的書類では、作り直したPDFを正式な原本として扱えるかを提出先へ確認してください。
対処法6.正常なページだけを抽出する
特定のページを表示したときだけエラー110が出る場合は、そのページ内のデータが壊れている可能性があります。
Acrobat Proの「ページを整理」を開き、まず前半と後半に分けてページを抽出します。
保存できない側をさらに半分ずつ抽出すると、問題のあるページを効率よく特定できます。
正常なページを新しいPDFへまとめ、問題のあるページだけを作成元のデータや印刷機能から作り直します。
ページを抽出すると、文書全体のしおりやリンク、フォームの連携が変わることがあるため、完成後に確認してください。
対処法7.作成元のデータからPDFを作り直す
Word、Excel、PowerPoint、画像、CADソフトなどの元データがある場合は、元のアプリからPDFを再作成する方法が確実です。
PDFを作成するときは、ファイルへの書き出しや「PDFとして保存」を使用します。
再作成しても同じページでエラーが出る場合は、そのページに配置した画像、フォント、透明効果、リンクなどを一つずつ外して原因を調べます。
他社や行政機関などから受け取ったPDFの場合は、送信元にエラー110が出ることを伝え、元データから再出力してもらうのが安全です。
保存先のアクセス権や空き容量も確認する
エラー110はPDF内部の問題で起きることが多いものの、保存先の問題が重なっていないかも確認します。
保存先ドライブに十分な空き容量があるか確認してください。
読み取り専用のフォルダーや、書き込み権限のない共有フォルダーへ保存していないか確認します。
メールの添付ファイルを直接開いている場合は、いったんパソコンへダウンロードしてから編集します。
ファイルのプロパティで「読み取り専用」が有効になっている場合は解除し、別名で保存します。
OneDriveなどの同期中に問題が起きる場合は、同期対象外のローカルフォルダーで保存してから戻します。
PDFの保護や電子署名を確認する
PDFを開き、「文書のプロパティ」→「セキュリティ」で、変更や印刷が許可されているか確認します。
変更が禁止されたPDFは、権限パスワードがなければ編集や作り直しができません。
ただし、権限制限が原因の場合は、通常はエラー110とは異なる警告が表示されます。
電子署名後の変更が禁止されているPDFは、署名者や文書の発行元へ未署名のPDFを依頼してください。
保護を回避する目的で印刷や変換を行わず、文書の利用条件に従ってください。
オンラインのPDF修復サービスを使う際の注意点
オンラインのPDF修復サービスへファイルをアップロードすると、第三者のサーバーへPDFの内容が送信されます。
氏名、住所、契約内容、医療情報、社外秘情報などが含まれるPDFには使用しないでください。
重要なPDFは、作成元から再出力するか、組織の管理者が許可した方法で修復するのが安全です。
エラー110が直らない場合
どの方法でも保存できない場合は、元のPDFを残したまま、作成者や送信元へ再送を依頼します。
依頼するときは、エラーメッセージ、発生するページ、実行した操作、Acrobatのバージョン、WindowsまたはmacOSのバージョンを伝えます。
業務システムから毎回同じエラーのPDFが出力される場合は、閲覧する側ではなく、PDFを生成するシステムの修正が必要な可能性があります。
よくある質問
PDFを開けるのに、なぜ保存だけできないのですか?
画面表示ではPDFの必要な部分だけを順に読み込めますが、保存時にはファイル全体を解析して再構成するためです。
表示に使わない壊れたデータが、保存時にエラーの原因になることもあります。
Acrobat Readerでも直せますか?
別名保存、ローカルへのコピー、アップデート、印刷によるPDFの作り直しなどはAcrobat Readerでも試せます。
PDFの最適化やページ抽出など、一部の機能にはAcrobat Proが必要です。
ChromeやEdgeで開くとエラーが出ないのはなぜですか?
ブラウザーとAcrobatではPDFを解析する仕組みが異なるため、Acrobatが処理できないデータをブラウザーでは表示できる場合があります。
ただし、ブラウザーで表示できても、元のPDFが正常になったことを意味するわけではありません。
印刷して作り直せば完全に元どおりになりますか?
ページの見た目を救出できる可能性は高いものの、しおり、リンク、フォーム、添付ファイル、電子署名などは引き継がれないことがあります。
保存後はページ数だけでなく、必要な機能が残っているかも確認してください。
まとめ
「文書を読み取り中に問題が発生しました(110)」は、PDF内部の一部データをAcrobatが正常に処理できないときに発生しやすいエラーです。
未保存の注釈や入力内容がある場合はPDFを閉じず、可能な範囲で先に退避してください。
その後、別名でローカル保存、Acrobatの更新、PDFの最適化、印刷による再作成、正常なページの抽出を順番に試します。
印刷や変換では、フォーム、リンク、しおり、電子署名などが失われる可能性があるため、元のPDFは必ず残しておきましょう。

